むらもと農園 水稲栽培の概要

<平成24年2月13日 太一 記, 平成26年6月7日 改>


循環農法による水稲栽培

 水稲栽培の百姓仕事のうちの主なものを 以下に掲載します。


苗代(なわしろ)の準備

 田植機用の育苗箱は使いません。昔ながらの苗代で苗を 育てます。
 苗代には水を張った水田に作る水苗代(みずなわしろ)と、 水を張らない畑苗代(はたなわしろ)があります。 私たちは平成19年まで畑苗代で育苗していましたが、 苗が草に埋もれて生育が悪くなるという失敗をしやすかった ので、平成20年からは水苗代で育苗しています。

4月上旬頃 苗代予定地を耕起。
5月上旬頃 苗代予定地に水を張って、代掻き、畦塗りをする。

苗代予定地代掻きの写真 苗代予定地の代掻き
平成21年5月19日、鹿町町大屋
狭い田なので小さい管理機TMA300を使用。


種籾(たねもみ)の準備

5月15日頃 種籾を網袋に入れて、苗代への給水経路 などの流水に浸漬。4ないし5日間くらい。


苗代での育苗

1日目(5月20日頃) 播種(種下ろし)。
5日目頃 種籾から根が出て伸びてきたら、 苗代の水位を下げて土が水面から出るようにする(飽水状態)。
カラスが種籾を食べるのを防ぐため、苗代の上に ナイロンの釣り糸を張り巡らせる。
10日目頃 葉が伸びてきたら、飽水状態から 湛水状態(水深のある状態)に戻す。
30日目頃 苗がほぼ田植え適期の大きさに育つ。

苗代の写真 水稲の水苗代
平成21年6月26日、鹿町町大屋


本田(ほんでん)の準備

5月上旬頃 冬の間わざと生えさせていた草を ハンマーナイフローターで刻んでから、耕起。
5月下旬頃 土に混ぜ込んだ草や前年の稲わらが 土に帰るよう、再び耕うん。
6月上旬頃 梅雨に入って大雨が降った時に、 田に給水しながら耕うんして、水を張る。
6月上旬頃 水張りの翌日か翌々日に、代掻きローター(かご車輪) を装着した管理機で代掻きする。
6月中旬頃 代掻きの数日後に、平鍬で畦塗りする。
6月中・下旬頃 田植えの数日前に再び代掻きを する。


田植え

6月20日頃-7月上旬 30cm*30cmくらいの 間隔で1か所当たり1本ずつ、成苗を手で植える。

田植え終了直後の写真 田植え終了の二日後
平成21年7月16日、鹿町町口ノ里
縦横両方向に手押し除草機を通すことができるように、 30cm*30cmの格子状に植えています。


除草

7月中旬頃 苗が活着したら、手押し除草機(タグルマ)で 中耕・除草する。縦方向・横方向各1回。
7月中・下旬頃 ヒエを手で取る。田植えの一か月後までに 終える。

 コナギもたくさん生えますが、それを手で取っていたらキリがないし、 ヒエほどの支障はないのでコナギを手で取ることはしません。


畦の草払い

4月下旬頃から10月上旬頃迄 畦を歩くのに支障がないように 刈払機で時々草を刈り払う。

 田植え後は、稲への通気を良くすることも草払いの目的に加わります。


水管理

6月上旬頃から9月末迄 中干しはせず、ずっと水をためておく。 緑米は出穂・登熟の時期が遅いので10月中旬頃迄給水する。

 カニなどが畦や水底に穴を開けて水が抜けることがあるので、毎日二回 以上見て回ります。大雨の時は給水を止めます。


出穂(しゅっすい)

8月15日頃-9月15日頃 黒米、日本晴、ヒノヒカリ、 にこまる、赤米、緑米の順に出穂。緑米は特に遅い。
10月下旬頃 スズメが来る場合は、緑米を防鳥網で覆う。 緑米は刈取り時期が遅く、他品種の刈取りが終わってからスズメが 集中的に食べに来るため。但し、 網目30mmの普通の防鳥網はスズメが通り抜けるので、 抑止効果不充分。

出穂期の水稲の写真 左はヒノヒカリ、右は黒米
平成21年9月10日、鹿町町口ノ里


稲刈り

10月下旬頃 刈り取って稲架掛けする。 刈り取りは一部を鎌で刈って、残りはバインダーを利用。


脱穀

11月中・下旬頃 自走自脱ハーベスターで脱穀する。 脱穀の済んだ稲わらは、土に返すために田全域にばらまく。

 ハーベスターは脱穀機と唐箕の機能を兼ね備えた、充分に便利な 機械ですが、現在はこれに刈取り機の機能をも持たせたコンバイン という機械を使い、乾燥は掛け干しではなく乾燥機でする人も多い です。特に、大規模経営になるとコンバインが必須です。


貯蔵と籾摺り(もみすり)

 もみの状態で、空気を通さない密閉型の金属缶に入れて常温で 保管します。密閉型の缶が満杯の時は、空気は通るもののネズミは 出入りできない金属缶に一時的に保管し、密閉型が空いたらそちらへ 移します。
 空気の通る容器では、翌年の夏に蛾の幼虫が発生して 品質が低下するので、翌々年の春までが保管の限界です。空気の 出入りを遮断する密閉型容器なら、二夏越して丸二年経過しても 虫の発生や食味の著しい低下がなく、おいしく食べられます。
 食べる量に応じて二週間に一回程度、籾摺り機で籾殻を取り除いて 玄米にします。


より詳しく知るための参考図書


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